それは、地元紙のコラムでした。49歳で会社員を辞めた僕の心境をまさに代弁してくれている文章に、涙が滲みます。
様々な状況で人は会社員を辞めるのだけれども、その瞬間の気持ちを他の誰かと共有するのは、なかなかに難しいのです。
だって、会社員として働いてきた人間の周りには、やはり会社員も多く、当然として会社員を続けていく人達の前で、辞めていく人間の心情は、そう理解もされません。
岐阜県の恵那市で「庭文庫」と言う泊まれる書店の店主さんが、百瀬雄太さん・実希さん夫妻です。そのコラムでは、雄太さんが東京の会社を辞め、恵那市に戻られるくだりが語られていました。
ご両親の意向を汲みながらも、本音のところでは望まない仕事を目の前に、体調不良を次第に抱えながらも、心の中で
「まだだ、まだ、その時じゃない」
と言い聞かせながら、会社員を続けたそうです。
そして、遂に、大きなプロジェクトを終えて、自分の中での区切りを迎えた時に、
「ああこれでもう、自分の人生を自由に生きていい」
と、微笑みながら会社を辞め、自分を許すことができた、のだと言います。
「もう、親や誰かのために、生きなくていい」
と思えたのだそうです。
退職時の僕の心をそのまま表してくれていました。会社員を続けるのは、お金や自分の事だけではない。親兄弟やパートナー、周りの目に囚われている事も多いのだと、実体験でも感じました。
そこから卒業するには、人様の評価に関わらず、自分の中で「やり切った」と言う思いと共に前のめりに倒れていかないと、なかなか実現できないものです。
尚、庭文庫さんのインスタグラムはこちらになります。