僕も、小野裕史さんの存在を知ったのはメディアで報じられていたのがきっかけなのですが、IT企業家として「ジモティー」などのサービスを数々立ち上げられたり、有望なベンチャー企業への投資事業などで大きな資産を築かれた方であるにも関わらず、コロナ禍の2022年の10月に「出家してお坊さん」になったそうで、今の世に逆行する様な人生に惹きつけられます。
全ての財産は奥様に贈与して、自身には、この先の生涯の全財産として108万円のみを残して「そうしたら心が楽になりました。札束で殴り合う様な業界で毎晩の会食も全て辞め、移動も徒歩か夜行バス」だそうです。
全くレベルは違いますが、この方の存在を知った時に、同世代だったり、僕もIT業界で働いていた事もあり、とても親近感を抱きました。「欲」はある部分では、「自分を縛る」のです。
稲垣えみ子さんは、著書の中で安定した給与を得ながらの会社員という金満生活は「降りられない列車」と表現されていましたが、自分の「欲」は既に充分に満たされているにも関わらず、世俗の価値観に合わせて日々を生きている人は往々にして「その不自由さ」に耐えられなくなる様です。
そうして皆、自由を求めて、会社を辞めたり、出家したりするのであれば「頑張って身を粉にして働くとは一体なんなのか」と会社員を辞めた自分も未だに思いますが、それは最終的に手放すにも関わらず「この自由な生活を手に入れるための重要な過程・プロセス」である事は実感しています。
なんとも不可解な状況ではありますが、人生の中での「自己実現」として「多くの地位財を手に入れる」と言うことは「家住期」における大切な過程として「林住期」に移行するための準備として存在している様にも思います。
僕もお坊さんの様な暮らしをしている訳ではありませんが、FIRE後は非地位財を大切に「禅僧の暮らし」をお手本としながら「簡素な暮らし」「少ない消費」を心がけています。